落ち着いた自分を取り戻すためのコーピングリストを作ろう
つらいことや悲しいことがやってくることはどうしてもありますよね。
学校の人間関係がうまくいかないとき、部活で伸び悩んだとき、嫌な人から逃げられないとき、好きな人と別れてしまったとき、身近な人が亡くなったとき、仕事を辞めたいとき、、、ぱっと解決できることじゃない、もやもや、不安、恐怖、悲しみなどの処理にはいつも悩まされます。
そんなときに助けてくれる、自分専用の癒しのレシピ集が、コーピングリストです。
コーピングリストとは?
コーピングリストとは、端的に言うと、気持ちが弱くなった時にやるといいことを箇条書きにしたものです。そしてそれは完全に自分専用の項目でOKです。たとえば悩んだ時人と話すと楽になった、という経験をしたら、「人と話す」ことをあなた専用のコーピングリストの項目に書き足します。
私は大学あたりからコーピングリストを書くようにしています。気持ちが弱くなった時にリストのなかで、”できそう”と思えることから少しずつ試しながら、気持ちの回復を待つことができるので、やけになってしまったり、衝動的な行動に出たりすることを抑えられている気がします。
書くタイミングは?
書くタイミングは本当に思いついたときでいいのですが、気持ちが弱くなった時に良かったことを1つ1つ書き足していくのも、それ自体が「コーピングリストをつくる」ということに向き合えて、回復を助けてくれる気がします。悩みがどうしようもないときって、「悩み」にフォーカスするとよけい苦しくつらく出口がなくなっていくのですが、リストをつくろうとしていると、「コーピングリストをつくる」という1つのミッションに取り組みながら、自分の回復にフォーカスしていくことができます。
また、気持ちの落ち込みからだんだん良くなってきた、というタイミングもおすすめです。全てのことがキラキラして見えたり、乗り越えたことによる高揚感や達観、苦しかったからこそ感じることが多かったり、感受性がとても高まっている状態だと思います。なので、そのタイミングで素敵だな!いいな!と思ったものをリストに加えると、そのときのエネルギーの高い自分の記憶から、楽しい気持ちを思い出せたりもします。
どんなことを書く?
たとえば、私はこんな項目を作っています。
- 書いて気持ちを整理する
- 音楽を聴く
- のんびりした映画を見る
- 読書をする(穏やかな世界観のものをえらぶ)
- プチ旅行に行く(近場で日帰りなど)
- 買物をする
- 髪を切る
- おふろにゆったりつかる
- 部屋を掃除する
- 土を触る、植物の世話をする
- 日光をあびる
- 散歩する
- ふかふかの布団で昼寝する…
という感じです。
お金のあまりかからない、他人や自分を傷つけない、実行がそれほど難しくないものであることがいいと思います。
例えば私もプチ旅行に行く、買い物に行く、などを挙げていますが、お金を沢山つかうようなものではなく、気分転換になる程度のことです。もし大金を費やして旅行や買い物をしたら、あとで悔やんでしまったり、(お金を使った罪悪感など)ほかのストレスを増やしてしまったり、極端な場合”買い物依存症”のようなメンタルヘルスの大きな問題を抱えてしまう危険性もあります。
経済面・体力面・精神面などを考えて、個々人のできる範囲でやることがとても大切です。私はスーパーに買い物に行くだけでも、落ち込んでいるときにはいつもよりエネルギーが必要になるので、一見ささいに思えるような日常的な行動で気分を変えよう、回復につなげようという風に心がけています。
書くのは携帯のメモでもノートでも、自分が見返すのに苦ではないものであればなんでもOKです。
いつ使う?
気持ちが弱くなったときに私は、気を紛らす何かを考えるのもおっくうで、何もしなくて、時間だけが過ぎていき、さらなる自己嫌悪に陥り、と悪いスパイラルに入ることが多いので、落ち込んだらいつも、このリストの項目をみてちょっとできそうなことを探して回復していこうと思っています。
注意点としては、メンタルヘルスの回復には時間がかかるので、簡単に回復できるわけではないし、本当に気持ちが折れてしまう前に使わないとこのリストも無力なので、「ちょっと調子わるいな」ぐらいでも、適度に自分の気持ちを整えるために使っていくといいと思います。
コーピングリストがこころの不調の基準になる
本当は自分が癒されること、好きなこと、優しい気持ちになれることのリストのはずなのに、どれもやりたいと思えないとか、なんだか遠い世界のことに感じる、というときは、さぼっているのではなくて異常事態です。すぐに外部に助けを求めてください。
コーピングリストは万能ではありません。でも、こころの調子がとても悪い、がんばれない、ということに気づかせてくれるのもコーピングリストのいいところです。自分がいま異常事態なんだ、ということがはっきりすることで、外部に助けを求める必要性も認識できるようになります。
*異常事態だとわかったら、信頼できる家族や友人、もしくはオンラインのカウンセリングサービスもあるので、気持ちがまとまっていなくても相談することをお勧めします。
おわりに
気持ちが晴れないことが続いたり、突然心がかき回されるようなことが起こったり、そういうときに、過去の自分が積み上げてきたコーピングリストがあると、とても心強いです。ぜひ気に入ったノートやいつも持っているスマホのメモなどに、自分だけのコーピングリストを作ってみてください。